夜の休憩室
官能小説になります。
苦手な方はご注意ください。
今日も疲れたーーー。
美里はお疲れ様でした、と更衣室へ声をかける。
お疲れ様!また明日ね!という明るい声が返ってきた。中からはまだ談笑する声が聞こえる。帰る気配がないので、きっとまだ話し足りないのだ。
気楽そうでいいなぁ、と美里はひっそりとため息をついた。
内山美里が清掃員として働き始めて1年が経った。
26歳の美里は女性社員の中で唯一の20代で、入社当時は珍妙なものを見る目つきでじろじろと観察された。一緒に仕事をこなすうちに少しずつ馴染んできたものの、今でもたまに自分の噂話をされているのはうっすら気づいている。
20代で独身なのに、どうして清掃員に?と。
周りは年配の女性が多く、ほとんどがパートやアルバイトだ。
30代、40代の女性社員もいるものの、みんな既婚や子持ちで、時間の融通がきくからという理由で働いている人が多い。
そんな中、20代で独身、しかも正社員で働く美里は少々珍しい存在らしい。
美里も、最初からこの仕事に就いていたわけではない。
美里は以前、小さな会社で事務員として働いていた。しかしそこはパワハラがひどく、残業も常態化しており、日に日に美里は体力的にも精神的にも消耗していき、体調を崩し辞めてしまったのだ。
事務員から清掃員となり、これで良かったのかな、と考えることはあるものの、美里は今の仕事を気に入っていた。
(怒鳴り声はしないし、綺麗になると気持ち良いし)
意外と重労働だし、やることも多い。突発的な問題に対処しなければならない場面もある。
けれど、事務員の時には得られなかった、やりがいをダイレクトに感じられるところを美里は気に入っていた。
(給与が増えれば文句はないんだけどな)
そんなことを考えながら休憩室を横切ると、談笑している数人の清掃員と、警備員の姿があった。
清掃員と警備員は休憩室が一緒になっている。
清掃員は年配の女性が多いけれど、警備員は年配の男性が多い。若い男性もちらほらいるけれど、すぐ辞めてしまったりと、人の入れ替わりが激しい。
(あ、津川さん)
休憩室で談笑している人だかりの中に、警備員の津川がいることに気づいた。
津川は、美里と同時期に入社してきた男性社員だ。
28歳で独身で容姿端麗、さらに愛想も良い彼は女性社員に大いにウケが良かった。清掃員の女性が、食べて食べてとお菓子を渡しているのを何度も見たことがある。
「お疲れ様です」
美里が声をかけると、談笑していた社員たちが振り向き、あら美里ちゃんお疲れ様!また明日ねと挨拶を返してくれる。津川もにこりと笑って、お疲れ様でしたと爽やかに歯を見せた。
(すごい、清涼剤みたいな人だな)
美里はぺこりと頭を下げ、休憩室を後にした。
帰宅途中、美味しそうな匂いに足を止めた。
電車へと向かう道中、大通りからひとつ狭い路地に入ると、見かけない定食屋が目に入った。
(そういえば今日、ご飯炊き忘れちゃったな)
美里は普段、自炊をしている。
節約のためでもあるし、料理が好きだからというのが主な理由だが、休日に外食をするのを楽しみにしているから、平日は外食を我慢しているのだ。
(まぁ、明日は休みだし、今日くらいいっか)
店の前で少しだけ考え込んだものの、美里は自分を甘やかすことを選んだ。
鍵がない、と気づいたのはマンションの前についてからだった。
鞄の中身を隈なく探すけれど、どこにも見つからない。おそらく、女子更衣室のロッカーの中に落としてしまったようだ。
「最悪…」
片道40分、職場まで電車で戻らなくてはならない。
私って本当、鈍臭い。美里はふぅっとため息を吐いた。
仕方がない、と美里は鞄を肩に掛け直し、来た道を戻り始めた。
美里が勤務するのは、都心に位置する大型の商業施設である。
到着すると、時計の針は22時を回るところだった。
(昼とは別世界みたい)
酔っ払いのサラリーマンや、体を密着させて歩いていく男女の姿を見て、美里はそんなことを思った。
仕事が終われば速攻で家に帰る美里は、見慣れぬ夜の街に圧倒されてしまい、足早に職場へと向かった。
「あれ、内山さん。どうしたの?」
裏口から施設の中へ入ると、受付に顔見知りの警備員がいた。
いつもの見慣れた風景に美里はほっと息をつく。
「忘れ物をしてしまったんです、更衣室に。ちょっと取ってきますね」
「ありゃま。もし見つからなさそうだったら言ってね。一緒に探すよ」
「ありがとうございます」
親切な警備員にお礼を言って、美里は更衣室へと向かった。
更衣室は地下1階にある。
階段を降りた先の休憩室を横切り、更衣室へと向かおうとすると、休憩室に人影があるのを見つけた。
(…津川さん?)
休憩室にいたのは津川だった。
でもなぜか、美里にはそれが津川には思えなかった。
昼間の彼とは、雰囲気がまるで違うからだった。
気怠そうに組まれた長い足と、くしゃっと乱れた髪、そして何より、美里の目は煙草を持つ指に釘付けになる。
(煙草吸うんだ…)
美里が動けずにいると、緩慢な動きで津川が振り向いた。
「…あれ、内山さん」
津川は口角をあげてみせたが、目が笑っていなかった。
反射的に、美里は警戒心を強めた。
「すみません、休憩中に」
「ううん、それよりどうしたの?こんな時間に」
「ロッカーに自宅の鍵を忘れてしまって。取りに来たんです」
「そっか。それは災難だったね」
それじゃあ、と美里が立ち去ろうとすると、ちょっと待って、と津川が呼び止めた。
「せっかくだし、少し話さない?こうやって話す機会、これまでになかったし」
どうかな?と笑う津川の様子はいつもと同じように見えた。それに安堵した美里は、もちろんです、と答えた。
津川と向かい合う形で、美里は簡易ソファに腰を下ろした。
「仕事には慣れた?」
「はい。おおよそは」
「大変だよね。この施設広いし、毎日疲れるでしょ?」
「ええ、帰ったらへとへとです。でもそれは津川さんも同じでしょう?」
「確かに。それはそうだね」
2人で笑い合う。
「津川さんは、どうして警備員に?」
緊張がほぐれた美里は、前々から気になっていたことを聞いてみた。
津川は整った顔立ちをしている上に、スタイルも良い。さらに愛想も良い。なんて言うか、「かなり仕事の出来る営業マン」と言われた方がしっくりくる。
「…本当は、警察官になりたかったんだ」
「え…」
予想外の言葉に美里はぽかんとする。
「試験に落ちちゃって。うまくいかないものだね。それで、警察官に1番近いのは警備員かなって。安直でしょ」
にこ、と微笑む津川に、美里はどう返していいのか分からず、言葉を詰まらせてしまった。
「…ごめんなさい、込み入ったことを聞いてしまって」
「ううん、全然。俺こそ、つまらない話をしてごめんね。今度は内山さんの話を聞きたいな。内山さんはどうして清掃の仕事をしてるの?」
美里は以前別の会社にいたこと、そこでパワハラを受け、体調を崩してしまったことを話した。
「津川さんに比べると、とてもくだらない理由ですよね」
「そんなわけないでしょ。至極真っ当な理由だよ」
津川は笑わず、美里の目を見てそう言った。
しん、と一瞬沈黙が落ちる。
(気を遣わせちゃったかな…)
全部本当のことを話す必要などなかったのに。
機転の利かない自分に美里は歯噛みしつつ、何か別の話題を、と必死に頭を働かせる。
「あ!そういえば、今朝、痴漢に遭ったんです」
「痴漢?」
突然の美里の発言に津川が目を丸くする。
「電車に乗ってるとき。おじさんの手が、その、体に…。最初は偶然かなって思ったんですけど、全然手が離れなくて。あ、これ痴漢だ、って気づいて」
その時の気持ち悪さを思い出し、美里は眉根を寄せる。
鈍臭いですよね、と美里は笑ってみせた。
しかし津川は笑わなかった。
他愛もない雑談のつもりで始めた話だったけれど、不快にさせてしまったのかもしれない。
また話題選びに失敗してしまった。
美里が内心慌てていると、津川はにこりと笑った。
「ねぇ、痴漢を撃退できるように、俺が特訓してあげようか?」
「え?」
「内山さん、おっとりしてるから心配だよ。次また痴漢に遭った時、ちゃんと対処できるようにシミュレーションしておこうよ」
津川は立ち上がり、美里の横にぴたりと並んでソファに腰を下ろした。ふわりと煙草の匂いがする。
「あ、あの…」
「俺が痴漢役するから、ちゃんと抵抗してね」
美里の太ももに、津川の手の甲が触れている。
(距離が近い…!)
それだけで美里はどきまぎし、いま、自分がどんな状況下にあるのかわからなくなった。
唐突に、津川の手が首筋に触れた。
「ひゃっ」
びく、と美里の体が跳ねる。
「まだ何もしてないよ」
津川が苦笑して、美里の耳元で囁く。
「もしかして、内山さんって、そういう経験ない?」
美里はかぁっと顔を赤らめた。
耳まで赤く染まった美里を見て、津川は「かわいい」と囁く。ちゅ、と軽く耳に唇が押し当てられる。
「! ちょ…」
「酔っ払いの痴漢って設定だからね」
言うと津川は、美里の太ももに手を這わせ、同時に背後に回した手で肩を抱き、ぐいっと美里を引き寄せる。
「いや、あの…!」
この人は誰だろうか。
昼間の爽やかな彼は、どこへ行ったのだろう。
「元に、戻って下さい…!」
「ん?」
「昼間の、爽やかな津川さんに、戻って下さい…!」
美里が叫ぶように言うと、束の間、津川の動きが止まった。
しかし直後、美里はソファに押し倒されていた。
「俺ってどんな奴なの?」
津川の低い声に、美里はびくりとする。
先ほど感じた、不穏な空気が充満している。
津川は美里の両腕を頭の上で交差させ、片手で押さえつけた。
「ずっと正しくいろって?そんな奴いる?…あぁ、あんたはずーっと清く正しくいたのかもな。なんせ処女だもんな」
は、と喉奥で笑われて、美里はかぁっと顔を赤くする。
美里が何か言い返そうと口をぱくぱくさせていると、津川は美里のブラウスに手をかけ、器用に片手で外していく。
「な…っ!」
「ほら、抵抗しなよ」
ニヤニヤと津川が笑う。
「ち、痴漢って設定でしょう?!電車でこんなシチュエーション、ありません!」
「電車とは限らないでしょ。あらゆる場面を想定しておかないと」
美里の反抗は即座に切り捨てられる。
あっという間に胸元がはだけ、下着が露わになる。
美里はこの状況が信じられず、拘束されている腕に力を込める。
しかし男の、しかも警備員の腕力に勝てるはずもなく、無駄に体力を消耗させてしまった。
「思ったとおり、胸大きいね」
窮屈そうに下着に収まる乳房を、下から掬い上げるように触り、揺らして、柔らかいねと笑う。
もて遊ぶような触り方に美里は怒りを覚え、やめて!誰か助けて!と叫んだ。
「今日さ、俺、夜勤なんだよ。いつもなら仮眠の時間。残念だけど、助けは来ないよ」
絶望の色を浮かべた美里の表情に、津川は笑みを深くする。
もて遊ぶように触れていた手が、気づくと揉みしだくような動きになっていた。
もにゅもにゅと、触り心地を楽しんでいる。
美里は再び、じたばたと津川の下から這い出そうともがいた。しかし上手くいかず、逆に津川が下着を脱がせる手助けになってしまった。
直接手で触られる。美里は焦りと混乱がピークになり、やめて、お願い、と懇願した。
「あ…っ」
胸の先を指で撫でられた時、美里は甲高い声をあげた。
(なに?今の声…!)
自分の声に戸惑っている美里を見下ろし、津川はへぇ、と声を漏らす。
「巨乳な上に敏感なんだ。やらしいね」
「…っ」
美里は悔しくてたまらず、ぷいと顔を背けた。
津川の手の動きは止まらず、執拗に乳首を弄り始めた。
指でつまみ、ツンと尖ったそこを強弱をつけてこね回し、優しく指で彈いた。
「仕事のユニフォーム着てる時はわかりづらいけど、俺は気づいてたよ。あんたが巨乳なこと。こんなにヤラシイとは思ってなかったけど」
「…っ、や、はぅ、んぅ…」
「声出して良いのに」
くつくつと笑う津川を、美里はキッと睨みつけた。
美里の反応に構わず、津川は乳首を口に含んだ。
指とは違った舌のざらりとした感触と、ちゅくちゅくという卑猥な音に美里は目を瞠る。
「ふぁ、ぁん、やめてっ…」
「やめて欲しそうな声じゃないけどね。…ていうかさ」
いつの間にか津川の手はスカートを捲りあげており、下着を露出させていた。
「ほら、濡れてる。パンツの上からでも分かるよ」
「…!」
美里は信じられなかった。
初めてなのに。無理矢理されているのに。
どうして。
美里がショックを受けていると、さらに津川が下着の上から秘部に指を沿わせてくる。
くにくにとそこを触られると、ぞわぞわと快感が体を走り抜け、美里は背中を弓なりに反らした。
無防備な首筋にふぅっと息を吹きかけられ、ひゃっと声をあげる。その隙に、下着の中に津川の手が侵入してくる。
「うわ、ぐしょ濡れ」
「いや…っ!」
あまりの羞恥に、美里は顔を背けた。
「反抗するくせに、ヤラシイ体だね」
「…っ」
美里は何も言い返せず、せめて表情が見えないように懸命にソファに顔を押し当てた。
下着の中で、津川の指が動き始めた。
入り口を撫で摩ったあと、ゆっくりと中へ指が入ってくる。
指の動きはゆっくりで、徐々に押し開かれているようだった。
言葉とは裏腹に、とびきり優しい愛撫が続く。美里は次第に声が我慢できなくなっていく。
「…っ、あ、あぁ、ゃんっ…」
ちゅく、ぐちゅ、という卑猥な音に美里は耳を塞ぎたくなった。
いっそ乱暴にしてくれれば、こんな風に乱れずに済んだかもしれない。
いやらしい自分に気づかないでいられたかもしれないのに。
美里は歯噛みしそうな気持ちになる。
(せめて、感じてないフリしなきゃ…っ)
ぐっと唇を引き結び、美里は快感に抗う姿勢を取った。
津川は美里の様子を見て、今度はクリトリスに指を這わせ、くにくにと弄り始めた。
同時に乳首を舌先で転がされ、ちろちろと弄られる。
敏感は場所を同時に触られ、美里は快感を逃すのがますます困難になってきた。
「……っ!ん、ふぅう…っ」
「頑張るねぇ。もうあんたの中、ぐっしょぐしょだけどね」
「…っ、ひゃめ、て…っ!」
舌足らずながらもなんとか抵抗しようとする美里の反応に、津川が舌なめずりをする。
「…ねぇ、もう挿れていい?」
「!」
津川は自らのベルトを緩め、穿いていたズボンのファスナーを下ろす。そこには、美里が初めて目にする、赤黒く屹立したものがあった。
(男の人の性器って、あんななの…?!)
美里は慄き、後ずさった。
「処女には刺激が強いか」
言いながらも、津川はそれを美里の股間にあてがってきた。
「…!や、やめて!お願い、それは…っ」
「こんななのに?」
「ん、うぅ…っ、だって…!」
「ん?」
「わたしたちは、恋人ではないじゃない!」
「……まだそんなこと言うの?」
津川は短く嘆息する。呆れた、とでも言わんばかりの仕草に美里はカチンとする。
「何もおかしいこと言ってないわ!だってそうでしょう、これは、好きな人とする特別な行為でしょう!あなたはこんなことをして、後悔しないの?!」
「じゃあ、今から恋人になればいいの?」
津川は目を細める。
「言葉だけで良いなら、何でも言ってやるよ。『あなたのことが好きです。付き合って下さい』そんな言葉、どうして信じられる?本質なんて知らないのに、なぜ好きだなんて言える?俺には理解できない。あんたらはいつも上辺だけで判断する。勝手に期待して勝手に失望して去っていく。恋人同士の愛のあるセックスなんてまやかしだ。こんなもん、ただの性欲のぶつけ合いだろ」
美里は一瞬、押し黙った。
きっとこれは津川の本音だと思ったからだ。
それでも、美里は同意することはできなかった。
「…私は信じるわ。言葉の裏を深読みし続けるより、信じた方がきっと幸せだもの。昼間のあなたも、今のあなたも本当のあなたなんでしょう。過去に何があったかなんて知らないけど、愛してくれる人は必ずいるわ」
「…おめでたいな」
津川は再び、美里の秘部へ腰を押し付けてきた。
「あっ、だめ…!」
「一度、痛い目に遭った方がいいんじゃない。俺みたいな奴に」
「…俺みたいな奴って言うけど、あなたがいちばん、自分のこと決めつけてるじゃない」
津川は一瞬目を瞠った。
けれど直後、容赦なく屹立を蕾へ突き立ててきた。
「! ひや、いや!あぁあ…!」
「うわ、キツ…」
津川は低く呻いた。
(なにこれ、苦しい…!)
美里は呼吸をするだけで精一杯になった。
「はぁっ、はぁ、んぁ、はぁっ」
「…痛くはなさそうだね」
『ぬ、抜いて…!」
懇願する美里を見下ろし、津川はせせら笑った。
「そう言うけど、あんたの中、すごい濡れてるけど?」
津川が軽く腰を揺すると、ぱちゅん、と水音がした。
「あ!や…!」
「嫌じゃないでしょ」
津川がゆっくりと抜き差しを始める。
ぬる…と出ていったかと思えば、ずぷぷ、と中へ入ってくる。
形を覚え込ませるかのように、何度もそれを繰り返される。
美里はたまらなくなり、いっそ乱暴にして、早く終わって、と願った。
なぜなら、美里の体が段々と快感を覚え始めてきたからだった。
そしてふいに、津川は強く腰を打ちつけてきた。
「あ!あぁん…!」
(もうだめ…!)
美里は声を我慢できず、甘く蕩け切った嬌声をあげた。
本格的なピストンが始まり、美里はなすすべなく乱れていく。
「あぁ、ふぁ、だめ、あぅ、だめぇ、あん、あぁっ」
「何がダメなの?」
津川は意地悪く尋ねた。答えなど返ってこないと分かっているくせに。
津川は美里を抱き抱えて体を起こし、ソファへ座ると、自身の上へ美里を跨らせ、下から突き上げた。
「ゃああ…っ」
「うわ、すごい締めつけ」
言いながら、さらに津川は抜き差しを続ける。
ずぷっずぷっと音が立ち、形の良い美里の乳房が大きく揺れる。
津川は背後から美里の胸を揉みしだき、乳首をつまみ、くにくにと弄る。
「やぁあ!だめ、それ、や、あ!あん、だめ!」
「乳首好きだよね」
「好きなんかじゃ…!ん、あぁ、ぁンっ」
いちいち快感を拾おうとする体に、美里は泣きたくなった。
けれどどうすることもできない。
乳首を執拗にいじめられ、下から突き上げられると、体の中で、制御できないものが膨れていく。意識が朦朧としてくる。
「あぁ、なんか、だめぇ、あ、あぁ、やめ、やめて…!」
「イクの?」
「い、ぃく、イク、んあぁ、ああっ…!」
美里はびくびくと体を痙攣させ、くたりと力なく津川にもたれかかった。
(イっちゃったの?わたし…)
荒い息を吐きながら、呆然とする美里に、津川は喉奥で笑った。
「本当、ヤラシイ体だね」
津川は長机へ仰向けに転がすと、足を持ち上げ、さらに容赦なく腰を打ちつけてきた。
普段は社員たちが休息を取るための空間で、自分たちは破廉恥な行為に及んでいる。
後ろめたさから、美里は両手で顔を覆った。
「なに?職場であんあん啼いてる自分に気づいて恥ずかしがってんの?」
「…っ!」
「ほら、よく見て」
津川は美里の手を退かすと、普段は身だしなみを整えるために設置してある姿見が目に入る。
そこには、上気し、よだれを垂らす自分の顔と、ずっぽりと性器を咥え込んだ淫らな自分の姿が映っていた。
「…!いやっ、やだ、やめてっ…!」
「また濡れてきた。あんたもしかして、いじめられるの好きなの?」
「そんなわけ…っ!あぁっ、だめ、深い…!あん!」
「ここがイイんだ?」
ふいに奥の弱いところを擦られ、美里は咄嗟に津川を押し返そうとする。
「そこ、だめ、やめっ、やぁ、あぁん!」
「そんなによがるほどイイんだ」
「よがってなんか…!あ、イクっ、イっちゃう、あぁあ、やぁっ…!」
「く…っ、すげぇ締め付け…出る」
「だ、だめぇ、中はっ、あん、やあぁあっ」
さらに激しく揺さぶられ、美里は2回めの絶頂を迎えた。同時に津川は美里の中でどぴゅ、どぴゅと精液を吐き出した。
精神的にも肉体的にも美里は限界を迎え、意識はそこでぷつりと途切れた。
休憩室は静寂を取り戻し、美里の寝息だけが、まるで何事もなかったかのように静かに響いていた。